スズキくんの研究報告書

Twitterに書くには長い研究の記録を載せています。全然載ってないって言うな、これから載せるんだよお。

アナ雪の『とびら開けて』から学ぶ男の良し悪しの判断力

はじめに  

 先日、久しぶりにアナと雪の女王、略してアナ雪を観た。どのくらい久しぶりかというと、前に観たのが映画館で観た時なのでめちゃくちゃ昔である。今調べたら5年前だと判った。うおお、もうそんなに時間が経っているのですかい。てっきり2,3年くらい前だと思っていた。おじさん信じられないだよ。

 

 というわけで約5年ぶりにアナ雪を観た訳だが、これがまあ予想の5倍くらい面白くてぶったまげてしまった。前に映画館で観た時も「いやあ、面白い映画だなあ。こりゃ売れるだろうなあ」と思っていたのだが(まだその頃はブームになってなかったと思う)、改めて観てみて「うわお、こんなに面白い映画だったか!?」となってしまった。

 

 今年の冬に続編が公開されるらしいが、その初報を聞いたとき「え~、続編なんてやらなくっていいじゃんかよ」と思っていたが、今回観たお陰で「た、頼む。は、早く続きをくれい」となっている。まるで砂漠を彷徨い続けて、ようやくオアシスを発見した冒険家みたいだ。今から公開が非常に楽しみだ。

 

本題

 さて、この映画の何が良いって、単純明快で判りやすいストーリーもだし、当時最先端のCGが生んだ映像美にも驚いてしまうが、やっぱり一番重要な要素は曲だと思う。

 

 映画が公開していた頃はみんなこの映画の曲を歌っていた。ユーチューブでカラオケを歌ってたり、あるいは口パクをしている人たちの動画をテレビがしょっちゅう特集していた記憶がある。カラオケはともかく、口パクまでも流行るというのは、今思えば中々異常だと思う。

 

 しかしだ、しかしだね。み~んな楽しそうに映画の曲を歌っているがね、その曲の中にはだな、世にも恐ろしい真実が隠されているのだ。あ~恐ろしい。

 

 その問題の曲は映画の序盤に流れる『とびら開けて』という曲だ。原題は"Love is an open door"で、直訳すれば、愛は開けられた扉という意味だ。

 

 公開当時はこの曲をカップルが口パクで歌っている、いや、口パクを歌っているの範疇に入れていいのか甚だ疑問ではあるのだけれど、口パクしている動画が非常に流行ったらしい。めざましテレビのココ調でやってた。まだ伊野尾くんが木曜のレギュラーになる前の話だ。確かまだ三宅さんも出てなかった頃だったと思う。いや、出てたっけ、ううむ。どっちだったかしら。大塚さんはもう降板してたかなって、なんでオレはめざましテレビのキャスターの話をしとるんだ。アナ雪の話をしたまえ。

 

 話を戻す。あっ、ここから先、映画の重大なネタバレをするんでまだ観てない人は気をつけてください。

 

 

 

 はい、ネタバレゾーン入ります。映画を観た人は知っているだろうけど、序盤で主人公のアナが戴冠式の日に城の外へ飛び出して『生まれてはじめて』を歌いながらはしゃいでいる時に、彼女はサザンアイルズ王国からやってきたハンス王子に出会って、彼に一目惚れする。するとハンスの方もアナに気がある様で、そんな二人がイチャイチャしながら歌って踊る曲が『とびら開けて』。

 

 その曲の最後の方でハンスはアナに結婚を申し込むのだが、実は彼はアナのことは別に好きではなかったのだ。本当の狙いはアレンデール王国の王女であるアナと結婚して、最終的に国を乗っ取るためだったのである。王女であるアナや、女王のエルサも近いうちに事故死に見せかけて暗殺するつもりだったらしい。恐ろしい。

 

 ハンスの本性が明らかになるシーンは本当に驚いた。だって終盤に前フリも殆ど無しにいきなり明かされるんだもん。思わず映画館で「ウッソーっ!」って叫んでしまった。叫ぶな。上映中は静かにしなさい。だけどそのくらい驚いたのだ。

 

 ただ、もしかしたらアナと結婚して一緒に暮らすうちに彼女への愛情が芽生えてしまい、暗殺計画を思い留まる可能性もあったんじゃないかとも思うが、まあ今はその話はよろしい。

 

 で、そんな経緯があるもんだからアナとのデュエット曲である『とびら開けて』を聴き返すと、ちょっと意味深なニュアンスを感じる。

 

 例えば曲の最初のほう、ずっと孤独だったアナが恋をして「どこにも出口のない日々が突然に変わりそう」と歌って、それをハンスが「僕も同じことを考えてた。だって、どこにも居場所のない日々で探しつづけていた、こんな人を」と返す。映画を最後まで観ると、「こんな人」は自分と同じ境遇だったアナの事ではなく、玉の輿であるアナのことを指しているワケだったのである。ううむ、なんて悪いヤツだ。

 

 更に映画の映像と合わせてみると、「こんな人を」のところでハンスはアレンデール王国の夜景のほうを向いているのだ。歌いながらこの王国を手に入れたと思い、「遂に俺にも居場所を見つけたぞ、ぐへへ」と内心ほくそ笑んでいたのだろう。気が早いって。捕らぬ狸の皮算用の良い見本じゃないか。

 

 とまあ日本語の歌詞だとそんな解釈ができるのだが、実はオリジナルの英語版の歌詞だともっと意味深な箇所があるのだという。

 

 この件に関して、僕も前々から風の噂で聞いてはいたので、今回鑑賞する時も英語版で観て、噂の真偽を確かめようとした。

 

 しかしだね諸君、困ったことに僕は英語が大の苦手なのである。従って曲が流れているシーンでも英語で歌っている意味を耳だけで全然理解できず、字幕で追いながら「いやぁ~いい曲だなあ」とただぼんやりと聴いていただけだったのである。何やってんだよ。

 

 仕方ないので鑑賞後、インターネットの海を漂った。で、どうもその噂は本当だったらしい。以下は色々なサイトから集めた情報を僕なりに纏めてみたものだ。

 

 さて、日本語の歌詞で

ハンス「教えてよ」

アナ「え?」

ハンス「何が好きか」

アナ「サンドイッチ!」

ハンス「僕と同じじゃないか!」

と歌っている所がある。英語版だとここに秘密が隠されているらしい。

 

 じゃあこの箇所が英語だとどうなっているのかというと、こんな感じになっている。

ハンス「I mean it's crazy...」

アナ「What?」

ハンス「We finish each other's...」

アナ「Sandwichies!」

ハンス「That's what I was gonna say!」

どうだ。いや、どうだと言われたって困るだろう。ちゃんと解説をしなさいよ。はーい。

 

 だけどまあ英語のスクリプトを見て「あれ、日本語の歌詞と全然違うくない?」と薄々感じると思う。最初の二文は「僕はおかしいと思うけど……」「なに?」と言った感じに訳せる。多分合ってるはず。というかこの程度の文で間違ってたら恥ずかしいぞ。

 

 で、問題なのは三文目から。「We finish each other's...」を直訳すると「僕達はお互い終わったんだ……」となるが、歌の内容からしてどう考えたって歌詞がそうなるのはおかしい。これじゃ別れ話の歌じゃないか。

 

  どうもハンスがこの部分を歌っている途中に、アナが「サンドイッチ!」と遮ったようだが、全く意味が分からない。なんで別れ話の途中でサンドイッチが出てくるんだよ。

 

 とりあえず「We finish each other's...」の意味について。本当はさっきの文に「sentences」という単語が続いて、「We finish each other's sentences.」という慣用句になるはずだったのだ。直訳すると「お互いに言葉が合う」、これだと少し変な文章なので、意訳すると「お互いに気が合う」という意味になる。つまりハンスは「僕たち、お互いに……」と言いかけていたわけだ。

 

 じゃあなんでアナの返しがサンドイッチになるんだよ、となるが、どうも彼女は「sentences」を「Sandwiches」と言い間違えてしまったのだ。つまり

ハンス「僕たちお互いに……」

アナ「気が合う!」

となるはずが

ハンス「僕たちお互いに……」

アナ「サンドイッチ!」

となってしまったということだ。ううむ、日本語にすると不可解極まりないな。いや、もとの英語でだって、だいーぶ不可解だと思うけども。スウェテンシーズとスゥワンディッチーズ、ううむ。言い間違えるかしら。なんかアメリカのドラマのパロディらしいけど、よく判んないです。

 

 と、こうやって訳してみると、最後のハンスの「That's what I was gonna say!」、つまり「今僕も同じことを言おうとしていたんだ!」でツッコミどころが生まれる。おい、ハンス、オマエ、ちゃんと話聞いてたんかいっ。

 

 ううむ、ハンス、なんだか彼女や奥さんがする話をマジメに聞かずに「うん、うん」と適当に相槌を打って返している男みたいだな。ここでしっかりした女の人なら「ねえ、ちゃんとわたしの話を聞いているの!?」と問い詰めるところなのだけれど、世間知らずな恋する乙女アナはそんなこと気にもせず、とっとと次の歌詞を歌ってしまう。大丈夫かこの子。

 

 とまあアナはともかく、英語で観ている観客は「おい、なんかコイツ怪しいぞ」とハンスに疑いの目を向けるわけだが、残念ながら日本語でキャラの口パクに合わせながらそんな表現をするのはめちゃくちゃムズカシイ、というか無理なので日本語の歌詞はあんな感じになっているのですよん。たぶん。

 

 じゃあよくよく考えてみれば、アナのサンドイッチ好き設定は日本語版限定の設定なのか。いや、元からサンドイッチが好きな設定なのかもしれないけど。

 

 とりあえず世の女性のみなさん、話をマジメに聞いてくれない彼氏や旦那さんはハンスみたいに自分の財産や命を狙っていると警戒しといてくださいね。そういう話だったか?

 

  あとこの曲の英語版にはもう一つ隠しネタがあって、日本語の「考えていること、感じていること」のあとに

ハンス「そう」

アナ「ほんと」

二人「似てるね」

と、なっているが、英語だと「Our mental synchoronization...Can have but one explanation.」で「私たち(僕たち)の心は通じ合ってる。説明はひとつだけ」と始まって

ハンス「You...」訳「君と」

アナ「And I...」訳「私は」

(中略)

二人「一緒になる運命なんだ!」

という歌詞になる。ちなみになんで途中略したかってえと、略したところを訳しにくかったからです。これがオレの英語力の限界なのだよ。

 

 つまりこの歌の中では、「ハンスとアナ」という意味じゃなくて、「You and I」で「アナ」だけしか示されていないということなのである。だってハンスは「僕と」なんて言ってないもんね。つまりハンスはアナと結ばれるつもりは無い、いやまあ結婚はするんだろうけど、心は結ばない、という解釈になるというわけだ。恐ろしい。

 

 えっ、そんな恐ろしくない? いや、恐ろしいって言ってよ。

 

 ね、ねえ。ねーってば。

 

結論

 話をまじめに聞かない彼氏や亭主には気をつけろ